JEWEL 0304
先週行なわれていた“NBA Finals”のハーフ・タイムにも恐らくこのアルバムのプロモーション目的で出演していたアラスカ州出身のシンガー・ソング・ライタJewelの通算4枚目となるオリジナル・フル・アルバム。前述のハーフ・タイム・ショーで歌っていたのがこのアルバムの3曲目に収められた“Intuition”という曲なのだが、実はしばらくの間歌っているのが誰なのか分からない位これまでの作風から離れているのに驚愕を覚えた程。すなわち、これまでの素朴フォーク・ロック路線、ないしはそこから少々はみ出す程度の路線から、一気に主としてどこかの踊りも重視するヴォーカル・グループがやってそうな曲風への画期的展開が行なわれたことになる(といって、聞いて貰わないと何のことだか分からなさそう…。しかし、音源は色々な問題があって引用しにくいのが玉に瑕。まあ、右のジャケット写真でもその楽曲群が持つ「チア・リーディング的雰囲気」は分かるかと思う。)。てなわけで、この作品どうなることやらと思って早速購入し聴き始めたのだが、4曲目までは大体そういうファンキィなダンス・ミュージックへの路線拡張を示す内容で、以下はこれまでの路線を継承した楽曲が続き、10曲目辺りから、ややロック色の強い曲調が現われる、といった具合。相変わらず全14曲というサーヴィス満点なアルバムなのだが、上記の如く、ほぼ三つの部分に分解できる内容で、これは明らかに意図的なものだろう。真ん中にこれまでのキャリアを継承する部分を置きつつ、その周囲に新展開を示す楽曲を散りばめる、という図式。こういう大胆な試みは、失敗すると大変なことになりかねないのだが、この作品ではうまくいっている、と現時点では思う。次回作はもっと凄いものになることを告げる予兆ともいうべきこの大胆なアルバムを聞き逃してはならない。ということで。(2003/06/22)