Danny Boyle監督作品 28 Days Later
1996年にTrainspottingというとても良く出来た作品を世に送り出したManchester生まれの奇才Danny Boyle監督の最新作である。今回は端的にB級バイオ・ホラー。あたかも映画化もなされたゲーム『バイオ・ハザード』の如く、とある実験場から広まったどうやら「動物を凶暴化させる」性質を持つヴァイラス(間違っても「ウィルス」ではありません。)の感染者急増による社会崩壊から全英国民は国外に退去し、取り残された者たちもほとんどが死滅。たまたま交通事故で病院のICUか何かに入っていたために感染を逃れ、感染者達の手からも逃れたJimという青年と、彼が行く先々で出会うことになる何人かの生き残った人々が繰り広げるサヴァイヴァル・ゲームの行方を描く。
そこそこのヒットにはなっている模様だが、これは正直言ってこの監督が撮るべき映画ではないと思う次第。余りにも内容が希薄で、要するにこの作品には、例えば同じサヴァイヴァルものとして現在封切られている『ドラゴン・ヘッド』(未見)の原作(これは必読)が持っているような、「哲学」とでも言うべきものが全く存在しないのだ。まあ、単なるB級バイオ・ホラーを撮りたかっただけなのかも知れないが、こちらとしてはそんなものは観たくないのである。付け加えると、ホラー映画としての出来映えもさほどのものではない。
まあ、無人のLondon(若干人影が見えるのですが…。感染者か?)を撮るのは大変だったろうな、だの、最後に別ヴァージョンのエンディングが付け加わっているところ(はっきり言って、要らないんだけど)には前作The Beachにも見受けられたこの監督が持っているらしい「ゲーム感覚」とでも言うべきものを感じさせられたのだが、結局の所その程度の感想しか浮かばない。というわけで、以上、極めて手短に終わる。(2003/09/30)