Jean-Pierre Jeunet監督作品 Le Fabuleux Destin d'Amélie Poulain
天才Jean-Pierre Jeunet監督の長編4作目は、第1作Delicatessen(1991)に戻った感じの爆笑コメディ。本当に爆笑もので、久々に大笑いした次第。使われているのは確かに古典的なギャグばかりなのだけれど、その独特なテンポといい、緻密な構成といい、全く見事なもので、やはりこの監督は「天才」なのだな、と改めて思う。
メイン・プロット自体は、これまた極めて古典的とも言える「ボーイ・ミーツ・ガール」ないしより適切には「ガール・ミーツ・ボーイ」もの。パリに住むAmélie Poulain(出演映画は今のところ3作しかないAudrey Tautouが演じる。)は、その生い立ち故に空想癖を持つごくごく平凡なウェイトレス。しかし、1997年の8月、ダイアナ英国皇太子妃の死亡事故をきっかけに、彼女の人生は変わる。何がどう変わったかの詳細は省くけれど(「ネタばれ厳禁」、ということで。)、そんなこんなで色々なこと(要するにサブ・プロット。)が起こる中、Amélieは「証明写真スタンドで失敗写真を収集する若者」Nino Quincampoix(Mathieu Kassovitzが演ずる。ちなみにこの人、実は映画を撮っていたりもする。)に一目惚れ。とは言えシャイでイタズラ好きなAmelieが彼と結ばれるまでには、誠に複雑極まりない紆余曲折があるのであって、これが何とも楽しいのだけれどやはりネタばれ厳禁なので詳細は省く。
この監督独特の映像・色彩感覚、そしてメイン・プロットとやや盛り込みすぎの観さえあるサブ・プロット群が複雑に交錯するとは言え、それを極めて分かりやすくまとめ上げてしまう途轍もない構成力が見事に結実した傑作を、どうぞお見逃しなきよう。数ある「お正月映画」の中でも抜きん出ているのではないかと思う次第。ただし、平日の昼間でもほぼ満席状態なので、劇場には早めに行って整理券をゲットしておくことをお薦めする。さよう、どういうわけか観客は若い女性ばかりなのだけれど、それはおくとしてもこの「マニアック」な作品、私が思うに「異常」なまでの大ヒットとなっているのであった。以上。(2001/12/18)