Prefab Sprout Andromeda Heights
7年ぶりの第6作である。トーマス・ドルビーが全面的にプロデュースしていた以前の諸作品と比べ、ヴォーカルのパディ・マカルーンのプロデュースによる本作は極めて静かなアルバムである。私が考える彼らの最高傑作である事実上の第3作Protest Songsよりも地味な音作りかも知れない。今年のテクノ・ロック、ドラムン・ベース全盛を考えると、こういうアルバムが発表されること自体が重要なことではないかと思う。前作の延長なら、E.B.T.Gですらもどっぷりとはまりこんだ「打ち込み」に、彼らだって同じようにはまりこむこともあり得たはずである。実はそんなアルバムは裏で既に用意されていて、数年後に「実はこれ、1997年に出来てたんだけど、」とか言いつつ発売する気なんじゃないだろうか。こんなことを言うのはもちろん、彼らには事実上の第3作であるProtest Songsが4年間お蔵入りにされていた、という過去があるからである。私としては、本作よりも多分よく出来ているかも知れない事実上の第7作に期待したいと思う。別に、このアルバムがそんなに不出来なものだとは言うつもりはないのだが…。(1997/8/13)