Julian Schnabel監督作品 Before Night Falls
Basquiat(1996)を撮った、ポップ・アート界ではそれなりに有名な人物・Julian Schnabelの監督・脚本映画第2弾。キューバ出身の亡命作家・Reinaldo Arenasの生涯を、現地ロケを含む見事な映像で描き切る。さすがは、「本来は画家」の仕事である。主演のJavier Bardemは本作品でアカデミー賞主演男優賞候補となったのだけれど、確かに素晴らしい演技を見せている。非常に良くまとまった佳作、とひとまずは述べておきたい。
以下、難点を何点か挙げる。主人公の作家・R.Arenasが同性愛者で、かつまたキューバ革命政権に反抗的な作品を書き続けることによって逮捕・監禁を繰り返しさせられる、という辺り、何だかあの有名なブロードウェイ・ミュージカルA Kiss of the Spider Womanみたい、と思ったのは私だけではないだろう。(ちなみにこのミュージカルは、Hector Babencoによって映画化もされているのだけれど、この映画は「必見」であることを述べておく。)まあ、この点については、Arenasはあのミュージカルのモデルなのかな?、とも思うのだが…。もう一点。Arenasが書いた詩の朗読をスペイン語で、その他台詞の大部分は英語で、という形式が一応全体を貫いているのだけれど、何ヶ所かこの方針が崩れている部分があり、不自然に感じられた。どうせだったら、全編スペイン語にするべきだったのではないかと思う次第。やや、「神経が粗い」、といった感じである。
ついでだけれど、キューバン・ミュージックを基調とする本作品のサウンド・トラックには、Lou ReedとLaulie Andersonが加わっていることも述べておきたい。この辺に、まさしく、New Yorkを代表するアーティスト達の共演、という趣きが感じられた次第。以上。(2001/11/13)