ben folds rockin' the suburbs
解散したギターレス・ロック・バンド、ben folds fiveのピアニストにしてヴォーカリストでもあったフロント・マン、ben foldsのソロ・デビュウ作である。ピアノ・ベース・ドラムスを含むほぼ全ての楽器をben自身が演奏しているのだけれど、要するにこの人、実のところ何でも出来てしまうマルティ・プレイヤーだったわけです。
さて、今回のアルバムに含まれる楽曲群における使用楽器構成は、ben folds fiveと基本的には同様のピアノ・ベース・ドラムスの三位一体なのだけれど、やや異なるのはシンセサイザーによるサウンド・エフェクトがほんの少し入っている点と、コーラスの多用といったところ。この二つが、よりポップな方向へと大きく変貌を遂げたbenの作曲・編曲スタイルと相俟って、1970年代後半のELOだの10ccだのを彷彿とさせる、極めてセンスの良いポップ・サウンドを生み出すこととなった。誠に喜ばしくも理想的な変容であると思う。
最後になるけれど、以下やや細かいことを述べると、特に、1.Annie Waitsおよび11.Firedは、どちらもが見事とも言い得るような究極のポップ・チューンに仕上がっているし、この人にしては珍しくギターを大フィーチャーしたタイトル曲10.Rockin' the Suburbsにおけるブリット・ポップ的展開も大変うまく行なわれていて、この男のとんでもない才能を改めて思い知らされることになった次第である。以上。(2001/10/15)