Wim Wenders監督作品 Buena Vista Social Club
Wim Wendersの盟友Ry Cooderが、伝説的キューバン・ミュージシャンを集めて録音を行い、グラミー賞まで取ってしまったBuena Vista Social Clubのアムステルダム、ニューヨーク公演をメインに、彼等へのインタヴュウを交えて贈るドキュメンタリ・フィルムである。音と映像のバランスが見事な、大変良く出来たドキュメンタリなのだけれど、どうも、何故に彼等に再度光を当てることが重要な事なのかが良く分からなかった。確かに名人芸的技巧を持った人達なのだけれど、それ程大騒ぎするようなもんでもないように思う。悪くもないけれど。全盛期はもっと凄かった訳でしょう?もう少し、こうなった(要は、表舞台から去って、忘れ去られて、Ry Cooderに見出されるまでの経緯。)背景を説明してくれると良かったのではないだろうか。尚、本作においてはWenders監督の影は途方もなく薄い。これもまた、サウンド・トラックの方が本編よりも出来が良い最近の同監督の作品群に一つの典型例を付け加えるものとなってしまった。本作品は全編サウンド・トラックそのものと言っても良いものなので、他の作品よりはましかも知れない。Wenders監督自身の復活を期待したい。まだ老け込むには早過ぎる。(2000/03/23)