The Corrs Talk on Corners
アイルランド出身のAndrea、Sharon、Caroline&Jim Corrの4兄弟姉妹からなるケルト・ポップス・グループThe Corrsの第2作。
それほど知名度は高くないと思われるので簡単に彼らの音楽スタイルを記述すると、リズムトラックは大体打ち込みによるもので、これにケルト的な女性ヴォーカル及びコーラスが絡みつき、さらにはbodhranとかtin whistleあるいはuillean pipesなどのケルト的な伝統楽器が全面的に使用され、さらにはviolineやcello、fluteがケルト的なメロディーを付加している。何が「ケルト的」なのか、正確なところは私自身よく分からないのだが、それがたとえ「発明された伝統」であるにせよ、enyaをはじめとした、いわゆる「ケルト音楽」を自称するアーティストたちが行っている音楽形態をほぼ踏襲していることは間違いない。ただ、一つだけ付け加えると、enyaのようなアンビエントなサウンドではなく、あくまでもポップスの範疇に入る。The CranberriesとかSinead O'Connor辺りに近いように思う。もう少し軽めだけれど。まあ、それはともかくとして、非常に完成度の高い上質のポップ・アルバムであることは保証する。
なお、前作を全面的にプロデュースした、あのDavid Fosterが今回も何曲かプロデュースしている他、最後の曲(Jimi Hendrixのカヴァー。)ではThe ChieftainsのPaddy Maloneyが参加していることを付け加えておきたい。本作ではm全面的にプロデュースしている割にはさほど色濃いものではなかった前作におけるDavid Foster色(この人のやっていることはアメリカ的商業ベース音楽の典型だと思う。)がさらに薄れた分、よりアイルランド・トラッド色が濃厚になっている。アメリカ西海岸的なものとアイルランド的なものの融合と言っていいだろう第1作もなかなか面白いが、私個人としては、彼ら本来の持ち味をより強力に打ち出したように思える本作の方がはるかに聴き応えがあった。この調子だと次作はどうなるのだろう。楽しみである。(1997/10/25。11/03に大幅な改稿)