THE CRANBERRIES BURY THE HATCHET
アイルランドが誇る世界的バンド、THE CRANBERRIESの第4作。かなりハードなサウンドを指向していた前作よりもソフト路線に転じ、1st・2nd辺りの雰囲気に戻った感じもする。といって、ここ数年の演奏力、ヴォーカルの歌唱力の進歩はめざましいもので、極めてシンプルなアレンジに徹しつつも、骨太のロックンロールをきっちりと紡ぎ出す姿には、既に大御所の風格すら感じさせる。同じアイルランド出身のこれまた世界的なバンドであるU2が変幻自在にそのスタイルを変えていき、私個人にとっては段々詰まらなくなってしまったことを考えると、THE CRANBERRIESの一貫した姿勢の方がより好感が持てるのだ。本作も本当にいいアルバムです。なお、全体的に私小説的な内容の歌が増加し、政治色が薄くなっているのは、昨今の北アイルランド情勢を反映しているのかも知れない。前作で旧ユーゴ内戦に言及した彼らだけれど、今回はレコーディングがユーゴ空爆には間に合わなかった、というところだろうか。本当は何か言いたくてしょうがないんだと思うのだけれど。(1999/04/28)