David Cronenberg監督作品 eXistenZ
可もなく不可もなく、という作品。同監督の最高傑作は結局のところVideodromeであるという事になると思うのだけれど、本作では、近年の誠に野心的な路線を一旦ペンディングするかのように、作風としては、この人の原点とも言うべきかの作品、つまりはVideodrome辺りに回帰している。話の展開はP.K.Dickへのオマージュとも採りうるもので、可成りメタ・フィクション入ってます。尚、こういう所謂ヴァーチュアル・リアリティもの、というのも些か食傷気味の感があるのだけれど、この人独特の内臓的あるいは奇形生物的オブジェだの秘密工場みたいなものへのこだわりというものはもはや執拗とも言うべきものですらあり、こういうのが好きな人には堪らない作品なのではないかと思う。まあ、劇場で観るほどの作品では無いような気がするけれど…。付け加えると、Willem Dafoe、Jennifer Jason Leighという二人の大物の演技はそれなりに楽しめました。(2000/05/14)