Bryan Ferry As Time Goes By
久しぶりの新作はオールディーズのカヴァー集。誠にオーソドックスな、ビッグバンドによる演奏、そしてFerryの時代を超越したこの人ならではの歌唱が何とも言えない雰囲気を醸し出す。あの、実験的バンドRoxy Musicの10数年、その後のRoxyの延長線上にあったソロ活動を経て、今世紀末に至ってとうとう行き着いたところはここだったのか、などとも思うと誠に感慨深い。シンセサイザーなんてほとんど入っていないし(第4曲のみ。この曲にはアルバム中唯一RoxyのメンバーであったPhil Manzaneraが参加している。)、ギター(当然アコースティック。)ですら使われているのは数曲に過ぎない。ディジタル全盛時代に送るFerryの恐らく今世紀最後の贈り物。謹聴しようではないか。(1999/10/25)