Wolfgang Becker監督作品 Good Bye, Lenin! 2004.10(2003)
本国では600万人を動員し、数々の賞を受賞したというドイツ映画。東京国際映画祭で特別招待作品として上映されたのも記憶に新しいところ。でもって、確かに良く出来た作品で、それもこれも全く頷けた次第。
舞台は「壁」崩壊前後の東ドイツ→ドイツ。心臓病で意識不明になっていたため「壁」崩壊を知らない社会主義に身も心も捧げて来た母のために、その社会主義者としての生涯を全うさせるべく社会主義体制が終わっていないかのような偽装をし続ける息子の涙ぐましいまでの奮闘振りを描く。
あの手この手で誤魔化し続け、見事に騙し通す姿が何とも痛快なのだけれど、この映画、孝行息子の母への愛を描いたヒューマン・ドラマないしコメディという意匠を取りつつも、実はメディアによる情報操作をその統治の基本手段とする社会主義体制を暗に批判していると同時に、では資本主義体制ってホントに素晴らしいものなのか?という問いかけも含んだ一種社会風刺ドラマにもなっているところがミソなのだと思う。以上。(2005/07/25)