京極夏彦著『後巷説百物語(のちのこうせつひゃくものがたり)』角川書店、2003.11
先頃第130回直木賞を受賞した「巷説百物語」シリーズ第3弾。実写ドラマ及びアニメーションにもなってしまったこの優れた作品群の恐らく掉尾を飾るのではないかと思う本書は(『怪』-KWAI-networkを見る限りでは連載終了のような気もするのだが…。どうなんでしょう?)、これまでの作品世界から数十年後の明治時代に半ば舞台を移したもの。とは言え、年老いた山岡百介が語り手として登場し、過去の出来事にも言及するわけで、当然のことながらこれまでの主要登場人物も活躍する。
個々の作品の基本的な枠組みは、明治時代に生きる男4人衆が、昨今において出来した不思議な事件を巡って議論となり、「一白翁」と名乗っている百介の元に知恵を借りに行き、過去の出来事を語って貰い、そこから示唆を受けて今日の事件にある種の解決をもたらす、というもの。過去に起きた一見「不思議」な出来事の全てが実のところ仕組まれたものであることが明かされ、「不思議などない」のにも関わらずそれが人間側の受け取り方次第である現象の説明となったり、何らかの問題を解決する手段ともなる、というような、要するに<怪談>の機能あるいは<語り>の機能が見事な形で「説明」乃至「表現」されているように思われた。
「五位の光」という作品にはあの由良家の面々が登場したり、書き下ろし作「風の神」においては「憑き物落とし」が行なわれたりと、昭和時代を舞台とする「京極堂」シリーズとの連結を図ったかにも思われるこの作品、マニアも含め取り敢えずご一読の程。(2004/06/15)