Alex Proyas監督作品 I, Robot 2005.02(2004)
I.Asimovによる、あの云わずと知れた名作I, Robot(初出は1950年らしい。)を下敷きにしたハリウッド製娯楽作品。エジプト生まれのAlex Proyas監督による無駄のない、そしてまた極めてテンポの良い演出により、大変良く出来たエンターテインメント作品として仕上がっている。典型的なプログラム・ピクチャだけれど、こういうものはこういうものとして評価するべきだろう。優れた作品だと思う。
さて、機械化、オートメイション化が進行していた20世紀中盤に書かれた小説であるI, Robotで示された「ロボット工学の三原則」(=‘The Three Laws Of Robotics’。中身はどこかのサイトに出ているのでGoogle検索して下さい。)が体現していたコンセプトは、ロボットが本格的に生活の一部となりつつある今日においても未だにその意味を失っていない、というかますます意味を持ち始めつつあるという気さえする。
この徹底して「ロボットは人類の為の道具である」ことをうたう三原則は本当に完璧なものなのかどうか、万が一破られた場合に何が起こるのか、というのが原案の小説なりこの映画の基本テーマなのだけれど、要するにひょっとして人類は近い将来自分たちが産み出した機械に取って代わられるのではないか、という危惧乃至危機感はこの50年以上継続して抱かれてきた訳で、この辺り、Asimovの先見性というか、はたまた映画業界なり人類全体なりの進歩の無さというか、そういうものを今更ながら痛感した次第。まあ、優れた古典を改めて掘り起こすことは間違いではありませんが…。以上。(2005/04/18)