Cloudberry Jam The Impossible Shuffle
スウェーデンのバンドCloudberry Jamの第3作。1995年のデビュウからほぼ一年一枚のペースでのリリースを続けていることになる。第1、2作はほぼ同じような内容で、ドラムス、エレクトリック・ギター、ベース・ギター、オルガンを主体としたスピード感のあるシンプルな演奏にヴォーカリストJennie Medinの何となく冷めた感じの陰影のあるアルトが淡々と響く、というスタイルが一貫されていたわけだが、今回はがらっと雰囲気を変え、各曲のアレンジもソウル、ジャズ、ブルーズ、ロック、フォークその他極めて多彩なものになった。打ち込みはさすがに使っていないけれど、何曲かにはスクラッチまで入っている。正直言ってちょっと欲張り過ぎかな、とも思うけれど、あえてここでは挑戦的かつ野心的な作品としておきたい。今日のポップ音楽界では最も卓越したアルトの一人ではないかと思う、紅一点のヴォーカルJennieの力量は確実に上がっているし、デビュウ当初から言われていただろうThe Style CouncilやE.B.T.Gとのサウンド・スタイル上の類縁性は本作においてさらにはっきりしたものとなった。The Style Councilの第1作ではE.B.T.GのTracy Thornがあの名曲Paris Matchのメイン・ヴォーカルをつとめていたりしたけれど、確かにJennie Medinのヴォイス及び歌唱法は彼女を彷彿とさせるものである。実は私はJennieの声からKaren Carpenterを思い起こしてしまうのだが、これは誉め過ぎかも知れない。まあ、少なくとも、竹内まりあよりは近いように思う。
ところで、日本国内での発売は本国より2ヶ月も早いとのこと。日本での人気の高さは周知の通りだが、本国ではどういう位置づけなのだろう。そもそも、スウェーデンの人達ってみんな英語が出来るんだろうか。(1997/12/17)