王家衛監督作品 『花樣年華』
ウォン・カーウァイ(王家衛)監督、マギー・チャン(張曼玉)及びトニー・レオン(梁朝偉)主演による極めてストイックなラヴ・ストーリー。何しろこの二人、最後までキスさえしない。誠に素晴らしい。物語自体はどうでも良いのでこれ以上触れないが、本作品の見所は何と言っても1960年代の香港・シンガポールを再現すると同時に、当時の映画手法さえも再現しようという極めて大胆な試みにある。そう、本作品はあたかも、高峰秀子と森雅之が主演し、成瀬巳喜男が監督したような映画なのだ。ヌーヴェル・ヴァーグ的要素もふんだんに盛られている。王家衛監督は、こうした懐古的なある意味習作的作品を経て、恐らくは次回作でさらに一段の飛躍を遂げることになるのだろう。なお、作中でトニー・レオンが小説を書き、それをマギー・チャンに手伝ってもらうために借りる部屋の番号が「2046」であることを付け加えておきたいと思う。(2001/04/17)