Quentin Tarantino監督作品 Kill Bill Vol.2 2004.10(2004)
ご存知Quentin Tarantino監督によるチャンバラ・格闘復讐劇『キル・ビル』の後編。前編では謎のままだった、殺し屋グループのボスであるBill(David Carradine)がUma Thurman演じる女性を何故に殺害しようとしたのか、という辺りの説明を中心とした、アクション・シーンを物凄く控え目にした全編にわたってかなり落ち着いた雰囲気の漂う格調高い作品となっている。
賛否両論はあるのだろうけれど、これだけありきたりなストーリィで、それこそこれだけ「格調の高い」作品に仕上げてしまう同監督の手腕は何ともすさまじいものだと思う。Uma Thurman演じる女性とその娘との「再会」シーンなど、なかなか泣かせどころもある訳で…。
さてさて、この作品を観る者は、そのすみずみまで神経の行き届いた画面構成や、だらだらと長いにもかかわらず決して観るものを、というか聴くものを飽きさせることはない対話劇造りの妙技を味わうべきだろう。
そしてまた、何と言っても、まずは数多のB級映画に出演しまくってきたDavid Carradineを引っ張り出して来て、この人が実際に功夫だの太極拳だの気功の達人であるにも関わらず(この人を師とする啓蒙的なヴィデオが幾つか出てますね。)そのアクション・シーンを殆どお蔵入りにしてさえ(DVDには一部収録)この映画全体のトーンをあくまでも対話劇に仕立て上げたTarantino監督のセンスというか、拘った事は終始貫徹する姿勢とでも言うべきものには取り敢えず脱帽。と、云う事で。(2005/05/20)