Antoine Fuqua監督作品 King Arthur 2005.01(2004)
監督よりこっちの方が遥かに有名なJerry Bruckheimer製作による、大ブリテン島を初めて統一したという説もある、実在したかどうかは良く分からない人物アーサー王を主人公とする物語。
エクスカリバー、円卓の騎士、魔法使いマーリン、などというのはこの人にまつわる伝説・伝承に出てくるもので、誰でも知っているのではないかと思う。でもって、そういう基本アイテム・人物達を登場させつつ、ローマ帝国支配下に組み込まれていたブリテン島出身のアーサー王を頭目とする騎士達が、サクソン人によるブリタニア侵攻を、ブリテン島に住む異民族達(ケルト系という設定らしい。)と共同で防ぎ切り、ブリテン島を統一するまでを描く戦争スペクタクル。
そもそも伝説に過ぎないものを、どうやら製作上の基本ポリシーとして、その描き方におけるリアリズムを追求しようとしたためかやや物語として面白みに欠けてしまっているのが残念なところ。こういう風に、御伽噺にしてしまわない方向も確かにあるとは思うのだが、それならば異民族間の複雑な関係だの、政治上の権謀術数だの、掘り下げられるべきテーマやら膨らませられるプロットなどなどは多々あったはず。要するにこの映画、極めて薄口なのである。
我々は、中世のスコットランドを舞台とした傑作史劇Brave Heart(1995)を既に見てしまっている訳で、あれを超えるのは難しいとは言え、それに近いものは期待してしまうのである。Jerry Bruckheimerの製作する映画に、余りにも大雑把なものが多いのは周知のことだが、何時までもこれを容認・放置していたらハリウッドの未来は暗いのである。以上。(2005/06/06)