David Lynch監督作品 The Straight Story
いい映画ですな。フムフム。どういう意味でって?いろんな意味で。この人らしくない、と言われていたが、そんな事はない。冒頭の芝生の植わった庭にある散水ホースといい、倒れる兄弟といい、もろにBlue Velvetではないか。主人公(Richard Farnsworth)が小型トラクターで走り出すシーンにおける路面の中央分離帯ショットなんていうのは、これまたもろにLost Highwayではないか(余りにもスピード感がないのだが…。ここで一笑い。)。そういう事を探しながら観るのは本当は正しくないと思いながらも、ついやってしまう悲しいサガなのであった。さて、主人公の娘を演じるのはBrian de Palma監督のCarrieで主演していたSissy Spacek。これを知っていると、本作において彼女が子供達を人の家にあずけている間に火事になって云々、という話は笑えてしまう。笑っちゃいけないんだろうけど。でもねえ。防火訓練で民家を燃しているシーンなんていうのもあったな。笑っちゃいけないんだろうけど笑ってしまいましたよ。ラスト・シーンも大笑い。本作は殆んど究極のロード・ムーヴィなんだけど、世界最高のロード・ムーヴィ作家Wim Wendersの最高傑作へのオマージュなのかオチョクリなのか(それはないと思うのだけれど…。やりかねん。)良くワカラン人物の登場は、頭のタイトルでこの俳優の名前が呈示されていなかっただけに、ブッタマゲものであった。笑っちゃいけないシーンなんだろうけど、笑ってしまいました。顰蹙顰蹙。ごめんなさい。でも、この感傷に流れないラストは確かに秀逸でしたね。別の俳優だったら良かったのに、と思う。でも、これって観ている方が悪いのかも知れない。(2000/04/25)