THE SMASHING PUMPKINS MACHINA/the machines of God
全15曲、73分に及ぶ超大作。しかし、何より眼を引くのはCDに収録されたサウンドではなく、CDに添付された歌詞カードである。Vasily Kafanovという人物(この人が何者なのかについてはhttp://idt.net/~kafanov/index.htmlを見て頂きたい。全然知らんかった。)の手になる絵画ないしエッチングが16枚収録されているけれど、これは殆んどミニ画集とも言える出来映え。「異教的」或いは「錬金術的」な雰囲気を醸し出すこれらの作品群が、CDに収録された「ゴシック系」と言って良いのではないかと思うサウンドに彩りを添えている。しかし、アルバム・タイトルといい、第5曲のタイトル"The Sacred and Profane"、第15曲のタイトル"Age of Innocence"などというのは、誠に意味深かつイメージ喚起力に富むものだ。余計なことかも知れないけれどそれぞれ説明すると、アルバム・タイトルについては、どう考えてもラテン語のdeus ex machina、すなわち「機械仕掛けの神」を連想してしまう。英語的にはgod from a machineと訳されるこの語は、「神の機械群」というサブタイトルとは随分その意味内容は異なるけれど。次。第5曲のタイトルは当然の事ながらM.Eliadeのあの名著を喚起させる。英訳版のタイトルはそのままだ。次。第15曲のタイトルはWilliam BlakeのSongs of Innocenceを連想させる。ちと無理があるか。最近「ケルト」ないし「ドルイド」研究に取掛かりつつあるために、そういう風に連想が働いてしまうのであった。最後に、サウンド面について一言述べておこう。前作は途轍もなく静かなアルバムだったけれど、本作はその前に若干戻った感じ。しかし、所謂「グランジ」色は殆んど払拭されていて、はっきり言えば極めて「ポップ」な作りである。たまたまThe Cureの新作を時を同じくして手に入れたのだけれど、良く考えてみると、彼等(THE SMASHING PUMPKINS)の前作辺りからのサウンド・スタイル形成には、1980年代を代表するロック・グループであったThe Cureの音作りが多大な影響を及ぼしているような気がして来た。プロデュースは前々作Mellon Collie and the Infinite Sadnessにも加わっていたあのFloodとBilly Corgan。Floodがもうすぐ新作が出るらしいU2の前作のプロデュースをしていたのは周知の事。話がどうしても「アイルランド」の方に逸れてしまうな。という事で。(2000/03/09)