Brad Anderson監督作品 The Machinist 2005.04(2004)
邦題は『マシニスト』で原題も同じ。要するに「機械工」のお話。その機械工を演じるのがChristian Baleなのだけれど、「一年ほど眠っていない」という設定のために恐らく自らに課したのではないかとさえ思えるその激ヤセぶりには実際に驚かされることしきり。但し、それだけの映画ではなく、A.Hitchcockやその後継者とも言えるM. Night Shyamalan等に系譜的にはつながる〈余り血が出ないサスペンス・ホラー〉としてとても良く出来た作品となっている。
話としては、前述の通りの不眠症に悩む、というかそのせいで最早現実と幻想の境界も定かでなくなっているらしい機械工が、身の回りに起こる数々の不審な出来事の原因を追及するうちに、真相に至るまでが描かれる、ということになる。「こんなんなる前に誰か病院に連れて行けよ、と。」などというツッコミもあるかも知れないが、まあ、この映画は〈現代に生きる者の孤独〉みたいなものを表現してもいるわけなので、これはこれで良いのだろう。職場では基本的に疎外気味であるわけだし。
アメリカのインディペンデント系映画を語る上で欠かせない女優 Jennifer Jason Leigh をはじめとする演技の達者な役者達と、見事なキャメラ・ワークと編集等々といった所に表われた優秀なスタッフ陣の能力と努力により、実際に物凄く単純なアイディアとストーリィがなかなかに見応えのある作品に仕立て上げられていると思う。そういう人々を集めた大変有能なプロデューサとスタッフの多くはスペインの人達なのだけれど、この映画、実はバルセロナで撮影された、ということも付け加えておこう。何を隠そうこれが一番の驚きだったのだが…。以上。(2005/11/30)