Clint Eastwood監督作品 Mystic River 2004.07(2003)
2004年の第76回米国アカデミー賞で作品賞、主演男優賞(Sean Penn)、助演男優賞(Tim Robbins)を受賞するという快挙を成し遂げたこの作品、男優賞は理解できるのだが、なんでこれが作品賞なの?と頸を傾げざるを得ないものであった。
何者かに娘を殺された父親(Sean Penn)が復讐の鬼と化し、旧友(Tim Robbins)を犯人に見立てて殺害するに至るという物語なのだけれど、正直言って話の流れに全く説得力がない。別段重厚なテーマを扱っているわけでもないのにやたらと暗い画面構成、音楽その他にもアンバランスなものを感じた次第。
同じような、群像劇にして物語の発端に「殺人」事件があり、勘違いが勘違いを呼んで、という展開を見せる映画としてRobert Altman監督のCookie's Fortune(1999)という作品があるのだけれど、ジャンルは異なるとは言えこの傑作コメディの方が映画として遙かに優れていると思う。こういうものを作る余裕みたいなものをを、21世紀アメリカは失ってしまったのだろうか、とふと考えた。以上。(2004/11/11)