張芸謀監督作品 『一個都不能少』2001.08(1999)
邦題は『あの子を探して』。いわゆる中国映画界第5世代の、最早ベテランでありかつ最重鎮でもある張芸謀(チャン・イーモウ)監督によるヴェネチア映画祭グランプリ作品である。

中国は河北省のとある山村。一ヶ月職務を離れるカオ先生(原語では「カオ老師」。)の代わりに、水泉小学校の生徒28人の面倒を看ることになったのは、隣村に住む13歳の少女・ウェイ先生(同じく「ウェイ老師」)。彼女が50元の報酬を得るための条件は、「生徒を一人も減らさないこと」。しかし生徒の一人ホエクー(男・11歳)は、家の貧しさから「町」へ出稼ぎに行ってしまう。彼を捜しだし、村に連れ戻すべく単身「町」に乗り込んだウェイ先生の健気かつ大胆な行動で、行方不明となっていたホエクーは発見され、めでたしめでたし、となる。

上記のごとく、途轍もなくシンプルで、更には終盤の展開は余りにも安易だと思うのだけれど、至る所に施された工夫が見事で、最後まで観るものを引きつける。とりわけ子役達の演技がすばらしい。

それはともかく、本作品の出演者は全て素人で、なおかつ実名で登場する。ところで、映画の終盤において、ウェイ先生はTV出演を果たし、それによってホエクーを発見、なおかつ小学校の運営資金の調達に成功するのだけれど、どうもこの辺り、この映画自体の製作プロセスをそのまま引き写したように感じたのは、私だけではあるまい。彼等には、どのくらいのギャラが払われたのかな、などと詰まらないことを述べて、終わりにしよう。(2001/10/03)