David Fincher監督作品 Panic Room
独特の映像感覚で知られるDavid Fincher監督が手がけるスリラー。余り期待せずに観たので特に文句もないのだが、やや単純明快すぎる物語構成には、やや拍子抜けした。まあ、「パニック・ルーム」なる、Jodie Foster演ずるインテリの母親とその娘が引っ越してきた、雨の降りしきるマンハッタンの超豪邸に設置された恐らくは現代アメリカでは本当に使われているのだろう不可侵の緊急避難装置というアイディアだけで、それなりに緊張感溢れる娯楽作品を作り上げてしまった手腕には恐れ入った次第。特筆すべきは、4階建ての豪邸内を壁も天井も通り抜けて縦横無尽に活写していくカメラワークで、これは確かに凄いです。
なお、同監督の最高傑作 Seven においてもそうであったように(何が「そう」なのかはあの映画を観た方ならお分かりでしょう。観ていない方はヴィデオないしDVDを借りてとっとと観ましょう。)、パニック・ルームに眠る「お宝」目当てに豪邸に侵入した3人について、アフリカ系の俳優 Forest Whitaker をインテリジェンス溢れる心優しき犯罪者として起用し、コーカソイド系の俳優二人をどうしようもなくアホで更には凶悪な犯罪者役として起用しているのは、アメリカ合州国におけるPC(Political Correctness)を見事なまでに体現しているのだろうな、などと考えた次第。こういう映画作りをしなければならないこと自体、問題だと思うのではあるけれど…。以上。(2002/06/27)