Radiohead Hail to the Thief.
これを聞かずしてその時その時のポップ・ミュージックおよびロックン・ロール・シーンは語れない、というアルバムをここ約10年間にわたり創り続けてきたRadioheadの通算6枚目となるオリジナル・フル・アルバム。基本路線は前2枚を継承している。それでもって、大概こういうことをしていると、普通はネタ切れ、つまりはやることがなくなるかアイディアが尽きるところを、この人達は、アルバムを出すたびにそのサウンドやリリックスがどんどん進化していくところがまた凄い。小出し小出しに出来る、というのは「天才」のみが持ちうる余裕、だろうか。逆に言うと、これまでのアルバムは本気じゃなかったのか、ということにもなるのだけれど…。まあ、そんなことはないのでしょう。取り敢えず、今回のこの大傑作アルバムでは、これまで培ってきた様々なことが更に深められ、他にこういうことをやっていた/あるいはやっている人たちをすぐに思いつけないということもあり(強いて言えば、blur。とは言え彼等が最近やっていることには、基本的にRadioheadの影響が多大に働いていると思う。)、要するに一つのジャンル形成を果たしてしまっている観さえある。1990年代には「オルタナティブ・ロック」の旗手と呼ばれた彼等だけれど、ここまで来ると最早そのような言葉で表わせるものではない。これは、一体どう呼べば良いのだろう?「新世紀ロック」とか「ニュー・ミレニアム・ロック」じゃあんまりだしな…。誰か考えてください。ということで。(2003/06/21)