STEELY DAN two against nature
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日本国内発売日であった先日購入し、今朝一番で聞き始め、早速これを打ち込んでいる。このような事は異例の範疇に入る。何しろ、私のDonald FagenとWalter Beckerを中心とするこのユニットへの思い入れは、途方もなく深いのだ。そもそも、人格形成にまで深い影響を及ぼしてしまっているようにも思われる程。しかし、あの前人未踏とも言える途轍もない完成度を誇った前作Gauchoから20年ぶりの新作なのである。いささか待ち草臥れていたとはいえ、その存在を忘れる事は片時もなかった。その間にこの二人が創り出した音源の中で、公式にアルバムとして発売されたのは、Donald Fagenのソロ作2枚(Nightfly、Kamakiriad)、Walter Beckerのソロ作1枚(11 Tracks of Whack)、STEELY DANとしてのライヴ版1枚(ALIVE IN AMERICA)、New York Rock & Soul Revueの同じくライヴ版一枚(Live at the Beacon)。多分これで全部網羅しているはず。(幾つかあった映画のサウンド・トラックやコンピレーションものは省いています。)どれもこれも、誠に素晴らしいものであった。
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本題へ。作り込みに作り込んだサウンドは健在。かつてのアルバムように、凄腕の、いかにもギャラの高そうなストゥディオ・ミュージシャンは余り参加していないのだけれど、やはりその完成度は近年出たものの中では群を抜いているように思う。この20年の間に、ポップ・ミュージックは変貌を遂げてきた訳だけれど、彼らはそのスタイルを殆ど変えていない。まあ、変えられる筈もないのかも知れない。1970年代に、やる事は全てやり尽くしてしまっていた感もあるのだから。日本で言えば、山下達郎さんみたいなものです。しかし、近年こういった所謂AOR系の音楽は低調気味で(日本の文脈で言えば、現時点ではスガシカオさんが一人で気を吐いてます。)、そもそも音源自体が殆ど生産されていないような状況だった訳で、本作がその復調への起爆剤となる可能性は、…ないかも知れないな。それは兎も角、こうなったら、ついでといっては何だけど、JAPANやROXY MUSICも活動再開してくれないかな、などと詰まらない事を打ち込んだ所で終る。(2000/02/29)