Texas White on Blond
スコットランドはグラスゴウ出身のバンド、テキサスの4年ぶりの第4作である。1989年のデビュー以来隔年でアルバムを発表してきた彼らとしては、珍しいブランクである。その間何があったのかは分からないが、サウンド・スタイルは大きく変貌した。第3作までの彼らは基本的にはアメリカ的なカントリーのテイストを盛り込んだロックンロールであったと思う。第1作などではライ・クーダーばりのスライド・ギターも盛り込んでいたわけだ。今回はこれまでとは打って変わって、ギターは微弱な音で演奏され、ストリングスが強調され、ヴォーカルのSharleen Spiteriの唱法もファルセットその他を駆使したかなり官能的なものになっている。何となく、昔のU2やCocteau Twins、さらには若干唐突かも知れないがCeline Dionを彷彿とさせるようなサウンド・スタイルへの接近が見られるような気がする。なお、このアルバムは本年2月に発売されたらしいが、私がそれを知ったのは5ヶ月も後のつい先日ことであった。当時はFMでも全然かからなかったし、CD屋の店頭に平積みになっているのも見かけなかった。かなり気合いの入った傑作だと思うのだが、日本では受けないのだろうか。少なくともこれまでの作品よりは土着色(ちなみに、アメリカのカントリー・ソングと、スコットランド・アイルランドのフォーク・ソングには、緊密な繋がりがある訳で、これがグラスゴウにおいてTexasなんていう名前のバンドが作られる一要因ともなっているような気がする。)が薄い分、受容しやすそうに思うのだが、いかがだろう。(1997/8/13)