Edward Zwick監督作品 The Last Samurai 2004.05(2003)
ご存じTom Cruise、渡辺謙、真田広之、小雪による史劇。時代は明治初期、新政府に抵抗する「最後の侍」(渡辺)の元にとある事情で捕えられた米国軍人(Cruise。ちなみに、こっちが「最後の侍」という見方も可能。)が、武士道に開眼するプロセスを描く。
日本人である私がこの映画を論じると、それだけでバイアスがかかってしまうのだがそれはそれとして、と。まずはこの映画、明治初期における日本の町や村の描写に関して、取り敢えず殆ど違和感を感じさせない辺りはさすがというか、きちんと時代考証を行なったのだなと、称賛の念を表しておきたい。まあ、改めてこれまでは当り前のことが行なわれてこなかったことにいらだちを感じるのだが…。
それを含めて、武士道なり何なりといった固有の日本文化礼賛には陥らずに、近代化過程で欧米文化を急速に吸収せざるを得なかった状況で生じた軋みみたいなものを、きちんと描けていると思う。これは、二つの文化が衝突するとき、片方が圧倒的な力を持つ中で起こる人間の悲劇なのだ。ということで。(2004/11/12)