Alejandro Amenabar監督作品 The Others 2002.11(2001)
「全然やる気が感じられないな…。」、と思わず自虐的な気分に浸りたくなるこの「レンタルDVD紹介欄」だが、取り敢えずこの度再開することと相成った。とは言いながら、どれくらいのペースで書き込めるかはちょっと想像がつかないのも事実。まあ、時々見てください。なお、面白い作品を教えて頂けると、コンテンツが増えるかも知れませんのでよろしく。
それは兎も角として、と。ごく手短に言うと、この作品はAlejandro Amenabar(最後から2番目のaは右上がりアクサン付き。)という人が監督をした純然たるホラー映画である。ところで、この人物、実はOpen Your Eyes(1997。スペイン語の原タイトルは“Abre Los Ojos”。未見。) という作品を創ったスペイン出身の映画監督・脚本家なのだが、この映画は Tom Cruise を主演俳優とし、Vanilla Sky というタイトルを付けられ、ハリウッド資本でリメイクされている。それでもって、ここで紹介しているThe Othersという映画の製作者(要するに出資者。)はCruiseであり、しかも、主演しているのがCruiseの元配偶者であるNicole Kidman というのは、映画以上に物凄いことだと思うのだが、いかがなものだろう?
さてさて、以下内容に移る。時代は第二次世界大戦が終わった1945年、場所は英国のどこかにある豪邸(撮影場所自体はスペイン国内のようだ。)。戦争に行ったまま戻らない夫を待つ女性Grace(Kidmanが演じる。)と、彼等の子どもである姉弟の計3人が暮らすその屋敷に、3人の使用人が雇われるところから物語は始まる。光に対して抵抗力がない、という理由でカーテンが閉め切られ、Graceが極度の神経質であるためか全ての部屋を出入りするたびに鍵がかけられる、というかなり常軌を逸した状況にある屋敷の中で、母と子は屋内に自分たちと使用人の他にも誰かがいるとしか考えられない幾つかの出来事に遭遇し、その影に脅え、また追いつめられていくこととなるのだが、さて、その顛末は如何に?というお話。
なかなかに怖い演出、そして見事な撮影技法と音響効果という三つの要素を兼ね備えた、大変良く出来たホラー映画で、更に言うと、このところ相変わらずの快進撃を続けているNicole Kidmanの余りにも見事な演技には圧倒された次第。劇場で観た方が良かったかも、とさえ思える位である。というようなわけで、必見とは言わないまでも、観ておくにこしたことはない程度の作品であると一応述べておきましょう。
そうそう、最後に重要な付け足しを。映画のある部分で交霊会seanceが行なわれている場面があるのだが、これが実は、どうやらある不動産物件を借りようとしている人達が、その物件に地縛霊みたいなものが取り憑いていないかどうかを知ろうとして行なっている、という設定になっているようで、シャマニズム研究をやってきた私は当然の如く大いに興趣をそそられたのだった。まあ、何しろヨーロッパには古い物件がたくさんあるから、そういうサーヴィスも相当な需要を持っているのではないかとさえ思う。こういう映画が作られていること自体が示す通り、幽霊なり何なりといったものの存在は、ヨーロッパ社会においても漠然とかも知れないとは言えそれなりに信じられていることが多々ありそうなので…。以上。(2003/05/24)