Danny Boyle監督作品 The Beach
近年観たものの中では最悪の出来。そもそも、これは映画としての基本条件を満たしていないのではないかとすら思える。退屈な展開、含蓄の全くない台詞、薄っぺらな人物描写。観終わって、何も残りはしない。凡庸な批評になることを恐れずに敢えて述べるなら、「暴力的なタイ人」、という平板な描き方も極めて不愉快。最低限政治的に「正しく」作って欲しい。要するに、我が儘な西洋人がタイ国のとある小島に共同体を作って、勝手にやっている、というだけの話。この共同体なり、そのリーダーの女性なり(この人物を演じるTilda Swintonを見るのは久々で、感慨深かった。しかし、「無駄遣い」である。)の輪郭がきちんと描写されていれば、それなりに面白くはなったと思うのだが。結局、タイ国に乗り込んでこの詰まらない映画を作った殆んどが西洋出身なのであろうスタッフ達自体が、劇中の人物達同様に、いやいやそれ以上に、我が儘なのではないか、と思った次第。気付いているんだろうか?確信犯的にやっているんだったら、それはタイ国の人々並びに観客に対して途轍もなく失礼だと思うのだけれど。もう少し才能のある監督だと思っていたが、失望した。(2000/05/05)