David Fincher監督作品 The Game
あっという間に上映館が変わってしまったので、「こりゃよっぽどつまらないんだろうな」、と思いつつも、前作Sevenがとても印象的だったので結局観にいってしまった。結果は前々作Alien 3同様で、期待に違わぬ駄作だった。その原因について考えるに、それは結末が見え見えだったり、美術やカメラ・ワークに何となく力不足を感じざるを得なかったり(前作と同じスタッフなのか?)することはまあおくとして、結局のところそれは、Michael Douglas演ずるところの主人公に私が全く感情移入できなかった、ということに尽きるのではないかと思う。前作で最終的に貧乏くじを引くことになるBrad Pitt演ずる若手白人刑事に関しては、その妻や同僚の老練黒人刑事との交流みたいなものが極めて丁寧に描かれていたことが幸いしてか、妙に感情移入してしまい、あのラストには「げっ」、となってしまったのだけれど、本作品でM.Douglas演ずる大金持ちがどんなに酷い目にあって全てを失ってしまったとしても、多分その何とも薄っぺらな人物造形のせいだと思うのだけれど(父の死だの妻との別離に関する部分がなんかとってつけたようだった。)、途中「何て悲惨な!!!」などとは一瞬も思わなかったし、かといってサディスティックにそんな主人公が「いい気味!!!」とも思えない私は(当然の事ながらそういう私は、近頃の代議士や官僚達の逮捕や自殺にもそんな不謹慎な感情は抱いたりしないのである。)、最後まで何とも言えない中途半端な気分を味わったのであった。いや、はっきり言って見終わっての感想は「何も残らない」、に極めて近いものであった。だからこんな文章も打ち込まなくてもいいかな、と思いつつ、1,400円も投資したのだから、何かを残そうとして、こんな作業にいそしんでいる訳である。最後に付け加えると、うがった見方をすれば、本作品がこの上で紹介したWim WendersのThe End of Violenceに極めてよく似た図式を持っている、という事を述べておきたい。まあ、エンターティメントに徹している分だけ、こちらの方が幾分ましという気もするのだけれど。(1998/03/26)