Texas The Hush
全英1位を記録した第5作。ポップだ。限りなくポップだ。初期のギター・ロック・サウンドは影も形もない。ほとんどモータウンとすら言える曲もあるし、何曲かはPrinceみたい。これもまたある意味でDavid Bowieの新作と同じく1970年代への回帰とも言えるのかも知れないけれど、結構打ち込みを多用していたりして、1970年代の1990年代的展開なのかな、という気もする。斬新さはないけれど、それなりにいいアルバムだと思う。第9曲なんかは傑作である。しかし、賛否両論あるでしょうね。ここまでポップになってしまうと、客層も変わっているのだろう。ただ、最近の経験から言うと、長らく培ってきたスタイルを変える、というのは大変勇気のいることで、それに敢えてチャレンジし、新境地を拓くということがいかに困難であるかを考えると、これは凄いことなのです。だからこそ、一作毎にスタイルを変化させてきたS.Kubrick監督や、前作までのD.Bowieはとんでもなく凄い人なのだ、と改めて思う次第。このバンド(ほとんどヴォーカルのSharleen Spiteriのソロ・プロジェクトと化しているのだが。)は今後どうなっていくのでしょう。この路線にとどまらず、思いもよらぬ展開を見せてくれることを期待したいと思う。(1999/10/21)