Wim Wenders監督作品 The Million Dollar Hotel
そのサウンド・トラック・アルバムは既に本欄でも昨年紹介したWim Wenders監督最新作である。

舞台はタイトル通りミリオン・ダラー・ホテル。精神的ないし身体的、あるいは経済的に障害を持つ人々が常住するいわゆる木賃宿である(まあ、要するに社会学などで言う「アジール」というやつです。)。このホテルを舞台に、主人公であり、かつまた語り部であるTom Tom(Jeremy Davies)とEloise(Milla Jovovich)の悲恋を軸として、物語は映画技法で言うところの「グランド・ホテル形式」に近い形で進行する(しかし、語り手はあくまでもTom Tomである。)。

正直言って、やはりサウンド・トラック・アルバムの方が優れていると言わざるを得ないような作品なのだが、Tom Tomの親友である大金持ちのドラ息子Izzyの死因を調査しに来た、これまた身体障害を持つFBI特別捜査官Skinnerを演じるMel Gibsonが、なかなかに異彩を放っていて、この点だけが面白かった。Wim Wendersはいつになったら復活するのだろうか、などと考えた次第である。(2001/06/12)