ポン・ジュノ監督作品 『殺人の追憶』 2004.08(2003)
今日の韓国映画が持つ勢いをそのまま体現したような傑作である。この作品、日本でも幼女連続誘拐殺人事件が起きていた1980年代終盤辺りに、韓国で実際にあった若い女性に対する未解決の連続暴行殺人事件の捜査過程を、丁寧かつメリハリのある演出で描いたもの。
どこまでがフィクションで、どこまでが事実なのかは良く分からないし別に分からなくても良いと思うのだけれど、この映画、兎に角人間ドラマとして余りにも良く出来ている(ちなみに、『太陽にほえろ!』を彷彿とさせるものがあったかと。古いか…。)。
即ち、捜査に当たるのは事件が起きた某地方のやや粗野な刑事(名優ソン・ガンホ)とその部下、及びソウルからやって来た頭脳派刑事(キム・サンギョン)の3名なのだけれど、彼等が浮かんでは消える容疑者達に翻弄されつつ、正体不明の殺人者によって追いつめられていくプロセスの描き方は誠に秀逸。この作品で示された同監督の敏腕振りには今後の作品にも期待してしまう次第である。以上。(2004/11/15)