Pitof監督作品 Vidocq 2002.07(2001)
後にLe Fabuleux destin d'Amelie Poulain(2001。最後から2番目のeは右上がりアクサン付き。)を撮ることになるJean-Pierre Jeunet監督のAlien : Resurrection(1997)、またJeunet&Marc Caro共同監督のLa Cite des enfants perdus(1995。最初のeは右上がりアクサン付き。)およびDelicatessan(1991)のそれぞれ特殊視覚効果スーパーヴァイザをしていたPitofの初監督作品。ついでに言うとMarc Caroは本作でもキャラクタ・デザインを担当。これで面白くならないはずがないと勝手に思い込んでいたのだが、やはり大変楽しめた次第。
タイトルにもなっている‘Vidocq’とは、18-19世紀のフランスに実在したEugene-Francois Vidocq (1775-1857)という人物の苗字。どうやら、この人の自伝をベースにした映画なり何なりは何度目かの制作になるようなのだが、詳細は不明。詳しい方は教えて下さい。
物語自体はかなり単純なもの。時は19世紀、場所はフランスのどこか。鏡の仮面を被る謎の連続殺人犯を追う探偵Vidocqだが、犯人を追いつめるもののすんでのところで死亡した、という報道が…。遺されたアラブ系(に見えましたが…)の助手の元に「Vidocqの伝記を書いている」と称する若者が訪れ、当然の如くVidocqが消える間際に扱っていた上記案件の調査を開始。19世紀フランスの暗部とも言うべき様々なことが明らかになっていく過程で、伝記執筆者の周りでは不審な殺人事件が頻発。さてさて、連続殺人鬼の正体は一体誰ぞや?というお話で、後は観てのお楽しみである。
今日、所謂エンターテインメント系映画の世界は、それこそハリウッド製ばかりが席巻しているわけだけれど、時々フランスその他発のこういう作品が現われて、ハリウッドとは全く異なった文体・様式で我々を刺激・魅了してくれるのはありがたいところ。しばらくこういう状況が続くのだろうな、という感慨を露わにしつつ、今回はあっさりと終わる。以上。(2003/06/01)