Primal Scream Exterminator
本年の初頭を飾る素晴らしい傑作。ディジタルなテクノ・ダンス・ミュージックを基調としているけれど、2曲目のようなOasis的アナログ・ロックあり、5曲目ではヒップ・ホップへ、インストゥルメンタル曲である第6曲・第9曲ではホーン・セクションを加えたジャジーな展開を行い、第7曲ではアンビエント、といったように誠に多彩なサウンド・スタイルに果敢に挑戦する。ヴォーカルのBobby Gillespieの物憂げで陰鬱な歌い方は恰もBernard Sumnerみたいだけれど、実は本家本元の名もクレジットされていたりいる。ついでに言うと、シングル・カットされたSwastika Eyesの別ヴァージョン(第10曲)はthe Chemical Brothersが追加プロデュース。これがダントツにかっこいいです。しかし、このタイトル、邦訳すれば「カギ十字の眼」。何と過激な。折しも西ヨーロッパではオーストリアで親ナチないし親ネオ・ナチらしき人達が連立政権に加わるという未曾有の事態を迎えている。第3次世界大戦への火種にならなきゃいいのだが。しかし、こりゃ、英国内では間違いなく放送禁止だろうな。但し、この人達は基本的に反ナチ、反ファシズムの姿勢を明確に打ち出している事をきちんと書いておこう。しかし、第1曲のKill All Hippies、第3曲のタイトル・トラックExterminatorといい、極めて政治的かつ過激な主張の歌詞の多い作品である。こういうのって、最近あんまり見かけなかったよね。(2000/02/14)