James Cameron監督作品 『アヴァター』
何とあの『タイタニック』以来12年も映画を作っていなかったジェイムズ・キャメロン(James Cameron)が、久々に世に出した長編オリジナル劇映画。フタを開けてみれば当たり前のように大ヒットしているが、恐らくハリウッド的には3D技術が根付くかどうかを見極めるための試金石的作品でもあったのであり、映画史的に見てもかなり重要な作品なのである。
そうなのだ。今回初めて3D上映で観たのだけれど、専用眼鏡をかけないといけない不便さと、全体として画面が小さく、そして暗く感じられるという難点はあるものの、さほどの違和感や抵抗感もなく2時間40分に及ぶ大長編を見終えたのであった。これはきっと浸透するんだろうと思う。2,000円は高いけど。でも実のところまだまだ完成された技術という気はしておらず、もっと色々出来るんじゃないかな、とも思ったのだが、例えば予告編でやっていた近日公開されるテリー・ギリアム(Terry Gilliam)の新作、あるいはティム・バートン(Tim Burton)の新作なども、是非3Dで観てみたいものだ。どういう上映形態をとるのか調べていないのだけれど。
話を戻すと、この映画、物語としてはいわゆる植民惑星ものというか要するに植民地もので、とある惑星にある大変貴重な鉱物資源を巡って先住民と入植者の間に起こる紛争と、ある技術を用いてアヴァター(化身)となり先住民社会に入り込んだ若者(サム・ワーシントン=Samuel Worthington)と先住民の娘(ゾーイ・サルダナ=Zoë Saldaña。ちなみに、映画だと全然分からないのだがこの人はアフリカ系である。)との恋の行方を描いている。良くある話、といってしまえばそうなのだが(ディズニーやテレンス・マリック(Terrence Malick)によって映画化されたポカポンタスの話なんかがそう。)、アン・マキャフリーの「パーンの竜騎士」シリーズを彷彿とさせていたり、『天空の城ラピュタ』やら『風の谷のナウシカ』やら『もののけ姫』やら『エウレカセヴン』やらといった日本のアニメーション的なところもあったりして、SFやアニメ好き等々にはかなりハマる部分が多い作品なのではないかと思う。
それはそれとして、技術的には本当にエポックメイキングな作品で、舞台となる惑星パンドラ(こうやってギリシャ語の名前を付けちゃうところが既に植民地主義的なのだがそれは措くとして。)の環境をゼロから造り上げた途方もない労力・資金力には頭が下がる。8以降のFFシリーズなどももの凄いことをやってのけていると思うのだけれど、これはまたとんでもない。幾らかかったのかとても気になったのだが、3億ドルらしい。ハリウッド恐るべし、である。(2010/01/17)