アイスランド出身の超個性派シンガーであるビョーク（Björk）による、マルチ・メディアを指向した『バイオフィリア』プロジェクトのうち、音源群として発表された作品。まあ、要するに音楽CD、である。プロジェクト自体の全貌は個人的に把握できていないのだが、音楽CDの他、iPhoneなどで動くアプリケーションなどが公開されている模様。詳しくはこちらを参照のこと。さてさて、CDには10曲の音源が収められているけれど、タイトルを見る限り宇宙から微生物（正確には'Virus'だが。この曲が実に素晴らしい。）までをも含む自然をテーマにした、コンセプチュアルな作品になっている。マルチ・メディア・プロジェクトも面白そうなのだけれど、音源自体が非常に優れたもので、サウンド・トラック的な、そこまで行かなくてももっとアンビエントな感じを予想するとあに図らんや、実際のところは彼女の歌声が隅々まで行き渡っている感じの、ヴォーカル・アルバムといっても良いような内容になっている。なので、これは彼女の普通のアルバム、と言ってしまって殆ど差し支えないだろう。1990年代に作られた曲を彷彿させるようなところも多分にあって、ちょっと懐かしさも覚えてしまった。以上。（2012/1/20）