Bryan Singer監督作品 『Bohemian Rhapsody』
これまた、『ザ・グレーテスト・ショーマン』同様に、多くの批評家による不支持とは裏腹にオーディエンスによって広く支持を集め、大ヒットしている話題作である。監督はクレジット上はブライアン・シンガー(Bryan Singer)になっているけれど、途中でデクスター・フレッチャー(Dexter Fletcher)に交代した模様。タイトルは、劇中でもそう発音されているように「ボヒーミアン・ラプソディ」くらいが正しいと思う。
そんな本作は英国のロック・バンドであるクイーン(Queen)のヴォーカリスト=フレディ・マーキュリー(Freddie Mercury)の伝記映画。主演のフレディ役にはラミ・マレック(Rami Malek)、他のバンド・メンバはそれぞれギターのブライアン・メイ(Brian May)をグウィリム・リー(Gwilym Lee)、ドラムスのロジャー・テイラー(Roger Taylor)をベン・ハーディ(Ben Hardy)、ベースのジョン・ディーコン(John Deacon)をジョゼフ・マゼロ(Joseph Mazzello)がそれぞれ演じている。
インド系移民のファルーク・バルサラ(=フレディ)は、ヴォーカルが抜けたスマイルというバンドのメイとテイラーに自分を売り込むことに成功し、これにディーコンを加えたメンバでバンド=クイーンが結成される。紆余曲折はありながらも、「キラー・クイーン」や「ボヘミアン・ラプソディ」などの大ヒットを経て時代の寵児となった彼らだったが、そんなこととは裏腹に、フレディは人知れぬ孤独感に苛まれており、やがて…、というお話。
個人的な話をすると、何しろ最初に買ったアルバムが『オペラ座の夜』(A Night at the Opera)ということもあり(当時10歳位?)、私のこのバンドや稀代の天才ヴォーカリスト・フレディへの思い入れというのは相当なもの、なのも事実。実は、フレディは私の半生において常に到達不可能な目標だったし、これからも多分そうだ(笑)。
というようなことはどうでも良いのだが、監督交代その他のすったもんだを経ながら、これだけ破格の人物、あるいはバンドを扱いながらもきっちりと破綻のない作品に仕立て上げ、大ヒットさせたことは称賛されてしかるべきだろう。特に、2時間ちょいにまとめるため、映画の焦点を概ねフレディのセクシュアリティを巡る問題に絞ったのは正解だと思う。それなりに触れられてはいる音楽的なことやビジネス絡みのことをこれ以上掘り下げていたら、多分失敗していただろう。個人的にはそっちに偏った版も観てみたいと思うのだが。
最後になるが、明らかに本人が歌っていないシーンが結構あって、一体誰が歌ってるんだろうと思ったのだが、主演のマレックだったり、マーク・マーテル(Marc Martel)というクイーンの公式トリビュート・バンド(「クイーン・エクストラヴァガンザ」)で歌っている人だったりするそうな。いやはや世界にはとんでもない人がいるものだ、と思った次第。(2019/01/05)