森博嗣著『キャサリンはどのように子供を産んだのか? How Did Catherine Cooper Have a Child?』講談社タイガ、2020.02

森博嗣によるWWシリーズの第3弾である。相変わらずの何ともコンスタントなペースでの刊行。表紙の写真はいつものようにJeanloup Sieffが担当。巻頭や章頭の引用は、G.イーガンの『ディアスポラ』からのものである。
国家反逆罪に問われていたキャサリン・クーパ博士と、彼女の研究所を訪問中の検事局員8名が、行方不明になる、という事件が発生する。グアトはまたしてもドイツ情報局から依頼を受け、キャサリン・クーパの研究所を訪れる。どうやら、クーパ博士は子供を産み、研究所内に作られた無菌ドーム内で共に暮らしていたらしい。一体、彼らはどこに消えたのか…、というお話。
どこかS&Mシリーズを彷彿とさせる展開だけれど、余りにも時代が違う。何せ引用が『ディアスポラ』なので、きっとそっちに持って行くのだろう、と考える読者は…、さほど多くはないかも知れない。
現実=リアルとは何か、生命とは何か、等々といった難題に、果敢に挑んでいる気がしているこのシリーズも、ここへ来ていよいよ佳境に入ってきた感がある。このシリーズが数年後に到達する場所についての想像(というか妄想)が次から次に沸き起こる、何ともインスピレーションに満ちた一冊である。以上。(2020/03/03)