Guillermo del Toro監督作品 Crimson Peak 2016.06(2015)
メキシコ出身の鬼才ギレルモ・デル・トロ(Guillermo del Toro)監督による、2015年公開のゴシック・ホラー映画である。出演はミア・ワシコウスカ(Mia Wasikowska)、トム・ヒドルストン(Tom Hiddleston)、ジェシカ・チャスティン(Jessica Chastain)など。今日の映画界を代表するような面々で、何とも豪華であると同時に、実に多国籍(オーストラリア・英国・アメリカ)。この辺がハリウッド、である。
物語の舞台は20世紀初頭のアメリカおよび英国。大富豪の父と二人で暮らすアメリカ人の女性イーディス・カッシング(ワシコウスカ)は、英国から妹ルシール(チャステイン)とともにやってきたトーマス・シャープ(ヒドルストン)という準男爵から熱烈な求婚を受け、父の突然の死という事態に面しつつもこれを受諾する。
英国のシャープ邸で暮らし始める三人だが、やがてイーディスは屋敷の中で幽霊を見るようになり、更には体調を崩し始める。一体この屋敷には何が隠されているのか、そしてまたトーマス、あるいはルシールの過去には何があったのか、そしてまたその正体は、というお話。
基本的なプロットについては、誰でも分かる通りA.ヒッチコック(Alfred Joseph Hitchcock)に多くを負っているのだけれど、それはオマージュというべきものである。
それよりも何よりも、この映画において重要なのは何といってもその美術。19世紀っぽさを残したアメリカや、シャープ邸の美術造形にはまことに目を瞠らされる。やはり、映画館で見るべきだったのだな、とちょっと後悔。ちなみに美術監督はブラント・ゴードン(Brandt Gordon)という人が担当している。
ある意味、このところ超大作を手掛けてきた職人肌のデル・トロ監督の原点回帰、ということになるだろうか。と言って、これもかなりの大作ではあるが。映画作りの職人たちによる至芸や、これからの映画界を背負っていくだろう俳優たちの好演が光る佳品である。以上。(2016/07/05)