Sheryl Crow Detours
アメリカのシンガー・ソングライタであるシェリル・クロウによる3年振りの新作。タイトルは「回り道」と言うほどの意味だけれど、この3年間でこの人は、まさに人生の曲がり角というか、私などだったらもう何だか良く分からなくなっちゃうんじゃないかと思うくらい色々なことを経験していたらしい。婚約解消だの乳ガン発見だの養子を迎えたりだの、と。私生活を赤裸々に歌うこの人のこと、今回のアルバムでもそれは随所に現われていたりする。音的には原点回帰と言えるもので、アコースティックなカントリー風ロックを基調とし、ルーツ・ミュージック的要素もふんだんに入っている。ここ数作に比べアレンジがシンプルな分、ヴォーカル・アルバムとしての指向性を強く感じた次第。良い曲ばかりなのだが、露骨にイラク派兵を題材にした、アラブ系の歌手Ahmed Al Hirmiをフィーチャしたこのアルバムではちょっと異彩を放つ第4曲'Peace Be Upon Us'が印象的。でも、平和が訪れるのは「US」の頭上で良いんだろうか、とも考えてしまう。以上。(2008/05/02)
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