Denis Villeneuve監督作品 『Dune: Part One』
フランク・ハーバート(Frank Herbert)の傑作Dune(1965)の再映画化作品第1部である。監督はカナダの俊英ドゥニ・ヴィルヌーヴ(Denis Villeneuve)が務める。スタイリッシュな映像美と、ハンス・ジマー(Hans Zimmer)による重厚な音楽が何とも絶妙に溶け合った、見事な作品。その手腕はリドリー・スコットやジェイムズ・キャメロン、あるいはクリストファー・ノーランといった偉大な作り手たちに、肉薄していると思う。
良く知られている物語なので、特にあらすじは記さないが、概略だけ述べると、この作品では、100世紀だかその位の未来における、アラキスという星を舞台とした、メランジという特殊な香料と、大宇宙の覇権を巡る争いが描かれる。
原作は長いシリーズなのだけれど(フランクが遺したものだけで6冊で、更に色々ある。)、今回の映画化はその一番有名な第1巻のみを対象にしているのだと思っている。で、恐らくパート2が作られて一応完結するはず。全部やったら100年以上かかる(笑)。
映像と音楽もさることながら、良く出来たシェイクスピア劇のような演出や、黒澤映画を意識しているはずの殺陣などもそれはそれは見事なもの。色々なものが良く整った、プロダクションになっていると思う。パート2にも大いに期待したい。
そして、これは絶対に書いておかないといけないのだが、主人公ポール・アトレイデス役に抜擢された若き俳優ティモシー・シャラメ(Timothée Chalamet)の美しさはそれはそれは尋常ではない。1995年生まれにして、既に巨大なキャリアを積み上げているこの若者、21世紀前半を代表する俳優になりうる逸材、と言っておきたい。以上。(2021/10/25)