Stephen Daldry監督作品 Extremely Loud & Incredibly Close 2012.06(2011)
『リトル・ダンサー』などで知られるスティーヴン・ダルドリィ(Stephen Daldry)監督による、2011年度のアカデミー賞で作品賞と助演男優賞(マックス・フォン・シドー)にノミネートされた好篇である。ジョナサン・サフラン・フォア(Jonathan Safran Foer)の第2長編を原作とした作品で、主な出演者はトム・ハンクス(Tom Hanks)、サンドラ・ブロック(Sandra Annette Bullock)、そしてトーマス・ホーン(Thomas Horn)とスウェーデンの名優マックス・フォン・シドー(Max von Sydow)、の4名である。
2001年の911テロにより父(トム・ハンクス)を失ったオスカー少年(トーマス・ホーン)は、遺品の中から見つかった鍵の持ち主を探し出すべく、ニューヨークを舞台とする探索を開始する。一筋縄ではいかない探索の果てに、オスカーは鍵の持ち主を発見できるのか、あるいはまた様々な人々と触れ合う中で、テロが残した心の傷は癒えるのか、というお話。
この映画の成功は、極めて時宜にかなったテーマもさることながら、名優3人をそろえ、更には天才的な演技力を持つ子役を起用したことによるところも大きいが、それにも増してダルドリィ監督の、卓越した語り口であの頃のニューヨークを活写して見せた手腕は、さすがと言う他はない。ニューヨークを舞台にしていること、ミステリィの要素を加味したあたりにポール・オースター(Paul Auster)の影響を感じてしまうのだが、いかがだろうか。以上。(2013/01/25)