The Enemy We'll live and die in these towns
イングランドの真ん中辺にあるコヴェントリィという都市から飛び出した、本年の最重要新人バンドであるジ・エネミー(The Enemy)の記念すべき、そしてまた瞠目すべきデビュウ・アルバム。全英チャート初登場1位の快挙を成し遂げたのだけれど、その名に違わぬ素晴らしい作品である。サマーソニックにも出演していた彼らだけれど、そのスピード感溢れる3ピース・サウンドは誠に見事なものだ。おとなしい感じのオープニングから、第2曲"Away From Here"で一気に加速。パンクっぽくもあり、ニュー・ウェイヴっぽくもあり、オルタナティヴ・ロックっぽくも、そしてまたUnderworldっぽくさえもあるというこのとんでもない名曲にとどまらず、この後の楽曲群も素晴らしい。例えば、これまた良く出来たというかアルバム中一番良いんじゃないかと思う第4曲"Had Enough"の曲想なんてのはもろにDevoとかThe Carsのものなのだけれど、そういう古典を見事に消化していたりする辺りからは、こういう優れたバンドを数多く輩出してきた英国の音楽文化というものの持つ底力を感じ取ることも可能だろう。何事も1日にしては成らず、なのである。その他に、これは多くの人が傑作として挙げている第6曲"You're Not Alone"と、デビュウ・シングルになった第9曲"40 Days And 40 Nights"、あるいは「うーむ、こんなことも出来るのか」という意味で第10曲"This Song"の3曲を特筆すべきものとして挙げておきたい。ヴィジュアル的にもとても印象的なこの若いバンドが、次に何をやってくれるのか今から楽しみである。以上。(2007/09/12)
enemy_2007