FOO FIGHTERS ECHOES, SILENCE, PATIENCE & GRACE
一応『反響、静寂、忍耐、そして慎み』と訳せる何とも格好良いタイトルを持つフー・ファイターズ(Foo Fighters)による昨秋発売となった通算第6作。元々最早伝説となってしまった感さえあるバンド・ニルヴァーナ(Nirvana)のドラマーであった天才肌のマルチ演奏家デイヴ・グロール(Dave Grohl)がギターとヴォーカルを担当するこのバンド、やや軽めのシンプルなリズム構成にキレイなギターといかにもアメリカンなヴォーカルが被さる王道とも言えるロックを見事に実践していて、何とも素晴らしい。ある曲ではニルヴァーナを彷彿とさせたり、またある曲では同じ時期に活躍した重要バンドであるサウンド・ガーデン(Soundgarden)を想起させたり、そして時折1970年代のスティーリィ・ダン(Steely Dan)までをも思い起こさせたり、といった具合に、ロックの歴史がギッシリと詰まった、そしてまたロックの未来を垣間見ることの出来る作品に仕上がっている。ストレートでアップテンポなものからスロウでブルージィな渋めの楽曲、更にはアコースティック・ギターのみで演奏された曲までをも含む、見事なまでに緩急とメリハリの付いたアルバム構成も言うこと無しであり、これは昨年の優秀ロック・アルバムの一つに数えられてしかるべき傑作だろう。以上。(2008/01/16)
ECHOES, SILENCE, PATIENCE & GRACE