the verve FORTH
昨年8年ぶりに復活し、つい先頃サマーソニックにも出ていた英国のロックバンド・ザ・ヴァーヴ(The Verve)による待望の最新オリジナル・アルバム。今年の下半期における最大の目玉、とも言えるこの作品、解散前に出した3枚目のアルバムUrban Hymnsがロック史上に残るとまで言われるような極めて高い評価を受け、ヴォーカルのリチャード・アシュクロフト(Richard Ashcroft)がその後ソロとして比較的短期間に3枚のアルバムを発表しどれもが高い評価を受ける中、一体どういう音に仕上げてくるのかと思っていたのだが、このバンドの持ち味である重くどんよりとした骨太サイケデリック・ロックに、前作Urban Hymnsやアシュクロフトのソロ・プロジェクトにふんだんに含まれていたポップでソウルフルなテイストをまぶした、何とも絶妙なバランスとなっている、と思う。ここで重要なのは、各種放送でヘヴィ・ローテーションになっていた何ともキャッチィなポップ・チューンである第2曲"LOVE IS NOISE"はこのアルバムの中で明らかに浮いており(決して悪い曲ではないのだが…)、実のところこのアルバムの本質は、唸るギターと吼えるヴォーカルが絡み合う第1曲"SIT AND WONDER"であるとか、第3曲"RATHER BE"から始まり、第7曲のサイケデリック・チューン"NOISE EPIC"で最高潮を迎え、第8曲目の美しい楽曲"VALIUM SKIES"から収束し始めて長大なラスト2曲をもって終結となる、あたかも深い沼に沈み込んでいくような、全ての音をじっくりと噛みつくさねばならないような、静謐さと激しさを共存させている楽曲群にある、ということである。"LOVE IS NOISE"を入口にしてこのアルバム購入した場合、正直呆気にとられるかも知れない、と言っておきたい。良く練り込まれた、11年という時間が全く無駄ではなかったことを痛感させてくれる素晴らしいアルバムである。以上。(2008/09/19)
forth