Quentin Tarantino監督作品 『Once upon a time in... Hollywood』
クエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)監督、レオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)とブラッド・ピット(Brad Pitt)共演による、1969年のハリウッドを舞台としたサスペンス・ホラー大作。公開に先立つ2019年5月に行われた第72回カンヌ国際映画祭に出品され、賞こそ逃したものの長いスタンディングオベーションを受けた、という作品。
かつて西部劇俳優として名を馳せたリック・ダルトン(ディカプリオ)と、そのスタントマンを長く務めてきたクリフ・ブース(ピット)は、時代の流れに取り残され、不遇な日々を送っていた。そんなある日、ダルトン家の隣に今を時めくロマン・ポランスキーとその妻シャロン・テートが引っ越してくる。やがて、謎めいたヒッピー集団が接近してきて、ダルトン家周辺には不穏な空気が流れだすが…。
60年代へのオマージュに満ちた、誠にタランティーノ節炸裂の一本。とは言え、全く単純な懐古趣味の映画ではないし、何と言っても実話をもとにしながらもその脚色っぷりが凄まじく、「ええっ、そう来るか…。」と何度もうなった次第。
意外と勧善懲悪だったり予定調和的だったりと、プログラム・ピクチャのパロディなのか本気の模倣なのか判断が付きにくい作品を多発してきたこの監督だけれど、今回はちょっと違う。エンターテインメント作品としての出来もとても素晴らしいのだが、非常に文学的な、そして実に詩情豊かな名品である、と述べておきたい。やはり、この監督からは目が離せない。以上。(2019/09/26)