Damien Chazelle監督作品 La La Land
Guy and Madeline on a Park Bench(2009)やWhiplash(2014。邦題は『セッション』)などで知られる1985年生まれの映画作家デイミアン・チャゼル(Damien Chazelle)監督によるミュージカル映画である。音楽はジャスティン・ハーウィッツ(Justin Hurwitz)、撮影監督はリヌス・サンドグレン(Linus Sandgren)が担当。
主演に今を時めくエマ・ストーン(Emma Stone)とライアン・ゴズリング(Ryan Gosling)の二人を据え、ロス・アンジェルスを舞台に、その恋の行方が描かれる。各界から高い評価を受け、第89回アカデミー賞では実に13部門にノミネート、6部門受賞の快挙を遂げたことは記憶に新しい。
あらすじ。ミア(ストーン)はハリウッド女優を目指すウェイトレス。セブ(ゴズリング)は自分の店を持ちたいと願うジャズ・ピアニスト。夢を追う二人はふとしたことで出会い、恋に落ちる。
やがてセブは旧知の仲であるキース(ジョン・レジェンド=John Legend。いやはや凄い人を使うものだ。)に誘われ収入は安定するもののツアーなどで多忙な身に。ミアは度重なるオーディション落選に業を煮やし、背水の陣で一人芝居の舞台を企画することになる。果たして二人の運命は、そしてまたその恋の行方は、というお話。
ジャズ、そしてミュージカル映画への愛に満ち満ちた、この監督にしか作りえないだろう傑作である。独特な色彩感を持つ映像、音楽やダンスとストーリィの見事な融合。こういう作品が作られること自体、奇跡に近いことなのかも知れない。
考えてみると、ジャズとミュージカル映画というのは常に表裏一体な関係にあったとも言える。発生時期も近いし、どちらも全盛期は1950-60年代前半あたりだし、今では絶滅の危機にある、というのは映画の中でも語られている通り。
そんな、ジャズやミュージカル映画の歴史的背景をきっちり踏まえつつ、先行作品からの引用を随所に織り交ぜることで、ノスタルジックであるとともに、まだ何かできることの可能性、みたいなものを模索してる風な作品になっている辺りが面白いな、と思った。
確かに、全盛期ミュージカル映画のスターたちはもっと踊れたし歌えた、のは事実なのだけれど、今はそれでは食えないのだからそんなスターはそもそもいない。この若き優秀な映像作家には、そんな時代にできること、すべきことは何なのかということを、これからも更に貪欲に追及していってほしい、と強く思う。(2017/03/27)