M. Night Shyamalan監督作品 Lady in the Water 2007.01(2006)
一応逸材だと思っているM.ナイト・シャマラン(M. Night Shyamalan)によるファンタジー映画である。とあるアパートを管理するしがない男のもとに、アパートの付属施設であるプールの底に住んでいると語る「水の精」が訪れ、世界が危機にあることを告げられ、その危機と闘う人員集めをする、というお話。いわゆる「セカイ系」の物語である。
実のところニュー・エイジ色丸出しの映画で、それを知っているからどうにも底が透けて見えてしまう。スティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)の『未知との遭遇』という映画が1970年代後半位に作られているけれど、全体の流れやニュー・エイジ色の満載振りはあの映画に近い。日本の文脈だと『ぼくの地球を守って』というコミックが1980年代終盤位に一世を風靡したことがあったりしたが、まああのような路線。やはりニュー・エイジの影響が濃い『セーラー・ムーン』の元になった『竹取物語』にも似ているのだが(なお、以上に挙げた作品はそのどれもがこの映画=『レディ…』とは違って大変優れた作品である。)、いずれにしても「何を今更」、という感じの作品なのは事実である。
才能ある脚本家にして映画監督のシャマランだけれど、どうも当たり外れが大きいというか、練り込みを徹底した作品とどう考えても「テキトー」に作った作品の落差が激し過ぎる気がする。これなどは典型的な「外れ」作品で、正直な話観ていて辛くなった。こういうことがあるから、この人の映画を劇場に観に行くことが無くなってしまったのである。さんざんな酷評を受けたわけだけれど(シャマランはこの映画で、年度最低映画を選出する目的で設置されたゴールデン・ラズベリー賞(=ラジー賞)のワースト監督賞、ワースト助演男優賞という2部門を制覇している。)、それらを糧としての奮起に期待したいところである。(2007/03/16)